
心が 深さへ 傾く とき
遠くの 空と
桜の シルエットは
冷えていく 心の 底を 打つ
想い出は この「時」に 集まり とけて
降り注ぐ 心の 花びらの 幻が 散る
ひとり この 「時」に たたずんでmichinari
スポンサーサイト
心が ばらばらになっている
道を かけのぼる
ああ むこうの街は ぼくのいた街
無数のほたるは 想い出の雪となって
顔や 手や ぼくのすべての身体に 降る
心が 砕けても 道をかけぬけた その先は
また おなじ苦しみが 見えないように
夜の空に 沈めてしまおう
遠く 月の軌跡を 眼で追うと
無数のほたるが 泪になって
降り落ちていったmichinari

彼は ぼくにうす絹をかけた
碧瑠璃の やわらかな雲に 包まれる
あー この花弁の暗闇を支配する 香りは
ぼくの鼻を突き抜けて 瞼を 壊した
海が そうでないもののように 自らを見せるとき
空が そうではないもののように 自らを 疑うとき
天と地の狭間が 彼を必要とした
この 静寂に融け込んだ 魂を
そして ほどけるものが 心であるように
ぼくにかけられた うす絹は なめらかに 消えた
michinari
ほんの少しの ミントの葉を
彼は その指でつまんだ
カカオに酔った 心を 醒ますために
奇怪な幻と 天から降る精霊が
彼の指先で 出逢い
薫る宝石となった…
彼の生み出す 甘美な蕾は
ぼくの身体を 花園へ 向かわせる
ぼくの眼は 蜜蜂の視野になって
花々の中心を すべて ぼくのものにした
薔薇園は どこまでも 続き
ハーブのふち飾りは ゆるやかな道へ 続き
ぼくの羽根も ゆるやかにカーヴを描いて
薔薇の足下の ちいさな花へ とまる…
しずかな つやのある肌は
彼の考えと 彼の想いを 映し
暗く見えるほどの 螺旋に 流れる
青い花は 赤く 赤い花は 瑠璃色に
すべての香りと ひとつの心を 手にする 彼は
カカオの精に 魂を 売ったのだmichinari
木の ひとつ ひとつに名前がある
花の ひとつ ひとつに名前がある
わたしのしらない たくさんのたくさんの名前
わたしのしらない たくさんのたくさんの世界
たくさんの時を重ね
たくさんの時を紡ぎ
そうして 生きて今ここにあるけれど
わたしのしらない あまりにも多くのこと
わたしの知る世界の あまりにも小さなこと
木の名が
それを教えてくれるhitomi
らくうしょうという木があります
落羽松と書きます
晩秋に インディアンレッドに紅葉し
その羽根を落します
ある日 らくうしょうに遇いました
空高くそびえ 美しいシルエットは
異国を呼びよせて ぼくは 思わず空の遠く
眼をやると 冬の雨の 最後の一粒が
光ったように 見えましたmichinari