
冬の薔薇はなぜ、可憐?
香りも寒さでとまどっている?
伏せた顔は、優しくて、
無言のぼくを、微笑ませてくれる… ☆Rosa ×odorata/Tea Rosa~天人薔薇
ぼくが「天人薔薇」と名づけました。
古くからあちらこちらの民家に咲いていて、
香りも、少しお砂糖を入れた紅茶の香り。
ヨーロッパに渡った、オドラタよりもやや花弁が少ないのですが、
同じ系統かと。
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ぼくたちの友人に、健ちゃんという人がいた。
英国のアンティークなど、小さな雑貨のお店をしていて、
ときどき遊びに行っていたんだけれど、
ある日、ある本と出合った! ☆Great Maiden's Blush/グレイト・メイドゥンズ・ブラッシュ
Alba 15世紀
Cuisse de Nymphe/キュイス・ドゥ・ナーンフ(ニンフの太腿)
とも呼ばれる、
古い、ふるーい薔薇。
ボッティチェリの絵のなかに描かれている、薔薇は、
この花なのです!
葉がまさにアルバの形。
よく特徴が描かれています。
「ぜひ津和野にいらっしゃい」と
小川次郎さん。
やさしく言ってくださり、
ぼくたちはどんなに嬉しかったことか… ☆Mme. Louis Lévêque/マダム・ルイ・レヴェク
Moss Roses 1898 Lévêque
Gloire des Mousseuxとの違いは、葉にあるのですが、
なかなか区別は難しい!
売る方も、間違っていることが多々あります。
じつはこの写真も、どちらか、忘れてしまっている…
その薔薇のご婦人と、友人になり、
いくどかお尋ねしていた、ある日、
そのお庭で、ある人に出逢ったのです。 ☆Petite Lisette/プティトゥ・リゼットゥ
Damask Vibert 1817
愛すべき、可愛い、薔薇、
リゼットゥ。
ああ、香り、感じますか?
ぼくたちの求めていた、19世紀の薔薇は、
その庭では見られなかったけれども、
やさしいご婦人の、話される薔薇の物語に、
しばし時を忘れて、20世紀の薔薇たちに、
囲まれていたんだ… ☆Variegata de Bologna/ヴァリエガタ・ドゥ・ボローニャ
Bourbon Lodi-Bonfiglioli 1909
この薔薇が作られて、すでに100年以上経ったのですね。
オールドローズと言っても、差し支えないでしょう…
わたしたちが古薔薇(こそうび)を追い求めていたころは、
まだ100年も経っていず、
新しいオールドローズと呼んでいましたから。
その庭で見た、ハイブリッド・ティの数々は、
重ねの厚いものから、一重のもの、
年を経たつる薔薇や、アーチや、スクリーン…
なかには、20世紀前半の薔薇もあった。
重い首をかしげて、オペラピンクの輝きを、
夕の光のなかで、くすませていた… ☆Chapeau de Napoléon/シャポ・ドゥ・ナポレオン
Cristata/Crested Moss Centifolia Vibert 1826
1820年、スイスの女子修道院で栽培され続けてきた、
この薔薇を発見。
とさかのような萼片を持った薔薇として紹介。
ついにその日がやってきた。
ぼくたちはそのご婦人に、何かギフトをと思って、
庭の一輪の花を手折って行ったけれど、
その花がなんだったのか、もう忘れてしまった。
ただ、車止めの赤いつる薔薇が、
いつまでも印象に残っているんだ。 ☆Old Garden Roses~薔薇の花束
drawing by michianri~coloured pencil